電線の選定 許容電流値に関して

電線の選定に関して。

EN 60204-1 でよくある指摘として、

設計の段階から気を付けておかないといけない注意事項として「電線の選定」があります。

電線の選定として意識をしなければならない内容はのひとつは「許容電流値」です。

許容電流値に関する記載は7.2.10項にあります。
7.2項が過電流保護機器の選定に関する要求事項であり、電線に必要な要求として読んでいると少し見つけにくいのですが、
そちらには次のような記載があります。

7.2.10

 過電流保護機器の定格及び作動電流設定値 ヒューズの定格電流,その他の過電流保護機器の作動電流の設定値は,可能な限り小さくしなければならないが,予想される過電流に対して適切な値でなければならない。
これらの保護機器を選定する場合には,過電流による損傷(例えば,接点溶着)から開閉機器を保護することを考慮しなければならない。

 過電流保護機器の定格電流又は作動電流設定値は,保護する導体の許容電流と最大許容遮断時間tとから決定する
導体の許容電流は,12.4及びD.2によって決定できる。
最大許容遮断時間tは,D.3によって決定できる。この場合,保護する回路内の他の電気機器との協調の必要性を考慮に入れる。

EN60204-1(参考訳)

ここで注意すべき箇所は2段落目のハイライトでしめした部分です。

例えば次のような回路を例として考えます。


緑の吹き出しで示している電線ですが、負荷の定格を確認したところ消費電流が30Aであったため電線として40Aの許容電流値をもつ電線を採用しております。

これがよくあるNGです。
OKとするためには、許容電流が50A以上ある電線を選定していただく必要があります。

規格の記載内容を再度確認いたしますと、
過電流保護機器の定格電流(つまりCB2の定格電流)は,保護する導体の許容電流(つまりCB2の二次側の電線の許容電流値)から決定することが求められていることが分かります。消費電流は判断の基準に登場しないのです。
過電流保護機器に関する項目として登場しているので、少し読みづらいので
電線の許容電流値の選定方法という視点から文章を書き直しますと

導体の許容電流値は、過電流保護機器の定格電流から決定される必要がある。

となり、電線の許容電流値は上流の過電流保護機器の定格値以上を採用する必要があることが分かります。
例では負荷の回路を用いて説明しましたが、制御回路の電線の選定も同様です。特にAC制御回路の場合には注意が必要です。

更に、負荷機器により電線サイズの指定されているケースもあります。
機器メーカの指示に従って使用することはEN60204-1の4.2項の要求事項であるため
負荷機器から電線サイズの指定がある場合には、
指定された電線サイズの中から許容電流値を満足する電線を選定する必要がでてきます。

電線の許容電流値は、電線メーカが仕様書やカタログなどで示している数値を採用して問題ありませんが
電線に許容電流値の仕様が無い場合には表6を用いて判断することになります。
ちなみにNFPA79の場合には規格に記載されている表を用いての判断が必須となりますので注意が必要です。

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